メッセージアプリとして異色の伸びを見せるSlack(スラック)。今回は、フリー(無料)プランを含めたSlack(スラック)のプランを比較します。
また、有料版にアップグレードする際の重要な注意点、移行するタイミングのポイントも丁寧に解説します。
目次
Slack(スラック)プラン比較
Slack(スラック)にはフリープランを含めて、4つのプランが用意されています。
- フリー(無料)プラン
- スタンダードプラン
- プラスプラン
- Enterprise Gridプラン
Enterprise Grid(エンタープライズグリッド)は、非常に大規模なチーム等を想定されており、料金も「営業担当者へ問い合わせ」する形式です。そのため、今回は「無料プラン」「スタンダードプラン」「プラスプラン」3つのプランに絞って比較紹介させていただきます。
また、Slack公式サイトのプラン一覧直下、「すべての機能をチェック」をクリックすると、それぞれのプランの全ての機能を見ることができます。
フリープラン | スタンダードプラン | プラスプラン | |
料金 | 無料 | 850円/1人 | 1600円/一人 |
メッセージ保存上限 | 10,000件 | 無制限 | 無制限 |
ファイルストレージ | 合計5GB | メンバーごと10GB | メンバーごと20GB |
連携アプリ | 10件まで | 無制限 | 無制限 |
ゲスト機能 | 無し | 有り | 有り |
画面共有 | 無し | 有り | 有り |
カスタム保存ポリシー | 無し | 有り | 有り |
カスタマーサポート | スタンダード | プライオリティ | 年中無休 |
基本的に、フリープランでも高機能なメッセージアプリとして問題なく使用できます。
しかし、メッセージ数や送信ファイルに関して少し制限があります。そこからプランが上がるごとに、制限が解除され、その他の機能やサポート、バックアップ体制が充実していきます。
ゲスト機能とは、他社との連携を指します。他社チームとのチャンネルが作れる、といったイメージですね。
また、カスタム保存ポリシーとは、メッセージやファイルの保存・削除のルールをカスタム出来る機能です。
さらに詳しい機能が見たい場合は、ヘルプセンターのページを参考にしてみてください。
フリープランの制限
まずは、フリープランの制限について解説します。
一定規模に達していないチーム・会社であれば、フリープランでも充分便利に使用できます。
単純にメッセージアプリ、ファイル共有用として使うのであれば、フリープランで問題ありません。
メッセージの保存上限が10,000件
- 10,001件からメッセージがアーカイブされていく
- アーカイブされたメッセージは閲覧できず、検索しても出てこない
- 有料プランにアップグレードすると、今までアーカイブされたメッセージが閲覧可能になる
- ピン留めされたメッセージも同様
まず、フリープランではメッセージの保存上限が10,000件という制限があります。
10,000件を超えたらメッセージが出来なくなる、という意味ではありません。メッセージ数が10,000件を超えたら、古いメッセージから順番にアーカイブされていく、という意味です。
10,000件というと多く感じるかもしれませんが、10名のメンバーが1日30件のメッセージを送ったとして、1ヶ月程度しかメッセージが残りません。
そのため、重要なメッセージが知らないうちに消えてしまう、という問題が生じる可能性があります。
ファイルストレージが5GBまで
- 全員の合計ファイルストレージが5GBまで
- 5GBを超えると、古いファイルから削除されていく
また、Slackのフリープランでは「全員の合計ファイルストレージが5GBまで」という制限があります。メンバーごとでなく、全員の合計ファイルストレージなので、チーム全体で数えて5GBを超えてしまうと、この制限に該当することになります。
5GBとは、簡単に言うと以下の表に示した程度の容量です。
写真 | 1500枚 |
音楽 | 1000曲 |
ただし、動画ファイル等はものによっては1GBを超える場合もあるので、「保存し忘れたファイルが既に消えてしまった」というような問題が生じる可能性があります。注意しましょう。
連携アプリの追加が10件まで
そして最後の制限として、連携アプリの追加は10件までしかできません。
連携アプリとは、Slackと連携して、ファイル確認作業等をスムーズに行うことのできるアプリです。現在では1000件以上ものアプリが連携対象となっています。
Salesforce(セールスフォース)やDropbox(ドロップボックス)など、アプリ連携によって様々な作業を効率化・見える化することができます。
普通にメッセージやファイルを送信するためにSlackを使用している分には、連携アプリを頻繁に使うことは稀です。連携アプリの追加制限数に関しては、あまり注意しなくても問題無いと思われます。
有料プランのメリット
それでは、フリープランからアップグレードした場合の有料プランのメリットは何でしょうか。今回は有料プランの通常版である「スタンダードプラン」を中心に、制限が解除される機能も合わせて紹介していきます。
尚、スタンダードプランの料金ですがチームメンバー1人あたり850円です(年額払いの場合。月額払いの場合は1人あたり960円)。
制限が解除される機能
スタンダードプラン以降、制限が解除される機能は3つあります。これで、フリープランにかかっていたほぼ全ての制限が解消されます。
- メッセージ制限無し
- ファイルストレージがメンバーあたり10GBまで
- 連携アプリを無限に追加できる
まず、メッセージの保存上限が撤廃されます。そのため、10,000件を超えてもアーカイブされることは無く、いつでも閲覧・検索することができます。
また、ファイルストレージの上限が大幅に緩和されます。「チームあたり5GBまで」が「メンバーあたり10GBまで」になるので、ファイル共有にかなりの余裕が出てきます。
最後に、連携アプリが10個まで、という制限もなくなります。これにより、便利なアプリを全てSlackと連携し、使用することができます。
多人数ビデオ通話ができる
Slackのフリープランでは1対1ビデオ通話のみ利用できます。
スタンダードプラン以降は、多人数のビデオ通話が可能となります。多人数ビデオ通話により、より円滑な社内・社外コミュニケーションをとることができます。
特にリモートワークは増加傾向にあり、より顔を合わせることの重要性が増しているため、多人数のビデオ通話は重要なポイントではないでしょうか。
画面共有が可能
スタンダードプランから、画面共有が可能となります。
画像やクリエイティブに関する議論は、ファイル送信とメッセージでも可能です。しかし、画面共有したビデオ通話と組み合わせることで、その効率は飛躍的に向上します。
また、操作方法やプログラムの記述に関する指示も、画面共有ならではの円滑な指示・フィードバックが可能となります。
保存ポリシーをカスタムできる
保存ポリシーとは、メッセージやファイルの削除・保存のルールのことを指します。
大事なメッセージやファイルを扱うことが多いチームにおいて、保存ポリシーのカスタムは必須の機能と言えるでしょう。
デフォルトの設定では、メッセージとファイルは、ワークスペースが存在する限り Slack にすべて保存されます。希望に応じて、一定期間の経過後にすべてのメッセージとファイルを削除するよう保存設定をカスタマイズすることもできます。 例えば、 10日間メッセージを保存するポリシーを設定した場合には、ワークスペース内の10日以上前のメッセージがすべて自動で削除されます。
カスタマーサポートが充実
プランがアップグレードされるごとに、カスタマーサポートが充実していきます。
フリープラン | スタンダードサポート |
スタンダードプラン | プライオリティサポート |
プラスプラン | 初回対応4時間以内 週7日、24時間体制のサポート アップタイム保証 |
スタンダードプランに適用されているプライオリティサポートは、あくまでも優先的にサポートします、という内容です。
それに対しプラスプランでは、初回に4時間以内に対応し、かつ24時間年中無休でのサポートが約束されています。さらに、99.99%のアップタイム(年間で0.01%しかSlackが落ちることは無い)の記述もあります。
実際のところ、Slackが頻繁に落ちる、といったことはありません。筆者はSlackを5年以上使っていますが、落ちて困った経験はありません。フリープランのサポートでも充分に満足できると考えられます。
有料プランへ移行するときの注意点
それでは、有料プランに移行するときの注意点をお伝えします。
基本的にSlackのフリープランで「困った」ことがあっても、連携アプリやIFTTT等の外部アプリで簡単に解決できる場合もありますので、アップグレードは充分注意して行ってください。
料金に関する注意点
無料プラン | 無料 |
スタンダードプラン | 850円(月額払いは960円)/1人 |
プラスプラン | 1600円(月額払いは1800円)/1人 |
まず「チームメンバーの人数に応じて料金が変わる」つまり、メンバー1人あたりの料金が設定されている、という注意点があります。
つまり、チームメンバーが20人のワークスペースであれば、これまで使用してきたフリープランからアップグレードする際、以下のような料金がかかります。
850円×メンバー20名=17000円(年間204,000円)
大規模、小規模どのような会社でも、メンバー1人あたり年間で10,200円がかかります。特に現在小規模で、これから大きくしていこう、という法人は、一人あたりの雇用費用が今後、年間10,200円上昇することになります。
また、友人の会社の経験談ですが、「Slackが便利だから、と外注含めガンガン人を追加していった結果、結構な料金になってしまった」という話も聞きました。
まずは料金体系と得られるメリットをよく理解して、本当に有料版が必要かどうか、代替サービスは無いか、よく考えて意思決定しましょう。
本当に有料版が必要か
以上の料金体系を踏まえた上で、本当に有料版が必要かどうかを検討していきましょう。
例えば、以下のようなポイントで検討しましょう。
- 多人数ビデオ通話機能について、連携アプリや外部アプリで解消できないか
- メッセージの保存は本当に必要か
- メッセージの保存はインポート機能等で解消できないか
- ファイル共有は宅ファイル便、GIGAファイル便で代替できないか
外部サービスを使用することで、有料版よりも便利な機能を簡単に実装することも可能です。
特にファイル共有、ビデオ通話に関しては、既に様々なサービスが登場しています。一度、比較検討してみてはいかがでしょうか?
有料版への移行タイミング
有料版への移行タイミングはもちろん、有料版へアップグレードする総額を、現在のデメリットが上回るときです。
ある程度の資金があって、そういったことを調査するリソースが無い場合は、すぐにアップグレードしても問題ありません。
現在アップグレードするか悩んでいるチームは、有料プランを無料で30日間試すことができます。
アップグレードに踏み切る決定打が無い場合は、一度無料トライアルを実施してみて、30日間使用した上で意思決定してみると良いでしょう。