「SlackとChatWorkの違いが知りたい」
「自分のチームがどちらに適しているかを考えたい」
この記事は、そんな方へ向けて書いています。
筆者はSlackを6年以上、ChatWorkを3年以上使っており、他社様のビジネスチャット導入に何度か立ち会いました。だからこそわかるポイントを押さえながら解説していきます。
先取り結論
- Slackは高機能で活発なコミュニケーションが可能
- Slackは導入コストが高く、社外とのやり取りに不向き
- ChatWorkは導入コストが低くシンプルで効率的
- ChatWorkに多くの機能は無い
- 当メディアは「Slackを使う理由が無いのであればChatWork」という結論
目次
Slackとは
2014年2月に社内コミュニケーションツールとしてリリースされたSlack。
創業者のButterfield氏が、オンラインゲームを開発する際のツールとして開発しました。
たった数年間での急成長。その要因は、ユーザーからのフィードバックを真摯に受け止め、改善を重ねたことにあります。
ワークスペース・チャンネルといった考え方が根底にあり、スラッシュコマンドやbot連携など、企業文化を醸成するのに最適なWebサービスです。
会社名 | Slack Technologies, Inc. |
本拠地 | アメリカ合衆国 |
導入企業数 | 約119,000社 |
公式サイト | https://slack.com/intl/ja-jp/ |
ChatWorkとは
2011年3月1日にリリースされたビジネスチャットツール。
「メールの時代は終わりました」というメッセージと共に、山本敏行氏が開始したチャットサービスで、古いメール文化ならではのストレスが限りなく排除されています。
LINEやTelegramといったチャットサービスに近いUIで大変馴染みやすく、初見でも迷うことなくチャットを開始できるのが特徴です。
会社名 | Chatwork株式会社 |
本拠地 | 日本 |
導入企業数 | 約264,000社 |
公式サイト | https://go.chatwork.com/ja/ |
SlackとChatWorkの大きな違い
どちらもチャットツールですから、基本的なやり取りは当然問題なく行なえます。
ここでは、特に重要な違いを解説しながら、関連する細かい違いについても触れていきます。
Slackはオープン、ChatWorkはクローズドな設計思想
まず決定的な違いとして挙げられるのが、その設計思想の違いです。
Slackはオープンな場であり、プロジェクト関連の話題の他にも様々な雑談を大勢でする形が前提となっています。
ChatWorkはクローズドな場であり、あくまでもメールのチャット版、情報伝達手段という位置づけですね。
Slackは社内コミュニケーションツールであり、外部(社外)とのやり取りはあまり得意ではありませんが、社内でのコミュニケーションにおいてはこれ以上無いぐらい優れています。
ChatWorkはビジネスチャットツールであり、外部とのやり取りも含め、「メールよりも簡単で円滑なツール」として使える他、グループを作成してコミュニケーションの場としても使えます。
Slackはオープンな社内コミュニケーションツール
ChatWorkはクローズドなビジネスチャットツール
Slackはもともとゲーム製作の手段として開発されただけあって、エンジニア・技術者から非常に高い支持を受けています。
「コミュニケーションをラクに」という考えのもと開発・改善されてきたChatWorkは、情報伝達・タスク管理において非常に有効な手段となります。
Slackにしか無い概念
「ビジネス版のLINE」「メールのチャット版」という風に一言で説明できてしまうChatWorkと違い、Slackは特殊な構成で成り立っています。
まず、Slackアカウントを持つ人は必ず「ワークスペース」に所属し、そのワークスペース内の「チャンネル」で会話します。
具体的には、例えばA社の社員である営業マンBさんは「株式会社A」というワークスペースに所属し、「#第一営業部」「#ランチ」「#全体」3つのチャンネルに所属しています。
#第一営業部:営業についてのホウレンソウ用のチャンネル
#ランチ:ランチの店・メンバーの決定のために会話するチャンネル
#全体:社内全体のお知らせなどが流れてくるチャンネル
以上のように、Slackでは会社やプロジェクトといった「ワークスペース」単位の中で、チームメンバーが複数の「チャンネル」に参加、「チャンネル」の内容・方針に従ってメッセージを送り合います。
また、ChatWorkは「1人1アカウント」であり、誰とやり取りする場合でも、自分の所有する特定の一つのアカウントでやり取りします。
しかし、Slackは「ワークスペースごとに自分のアカウントが存在」します。そのため、例えばフリーライターとして3社のワークスペースに参加しているCさんは、会社ごとにワークスペースを切り替えてメッセージすることになります。
この「ワークスペース」「チャンネル」という考え方に最初は馴染めないかもしれません。しかし、Slackを一度使うと、この考え方のおかげでかなり円滑にコミュニケーションがとれることがわかるはずです。
料金重視ならChatWork
Slack | ChatWork | |
初期費用 | 0円 | 0円 |
フリー(無料)プラン | 0円 | 0円 |
無料トライアル | ◯ | X |
Slack、ChatWorkともにフリープランでも充分な活躍を見せてくれます。
もちろん両者とも、有料プラン含め初期費用はかかりません。
Slack | ChatWork | |
個人向け | - | 400円/1人 |
中小企業向け | 850円/1人 | 500円/1人 |
大企業向け | 1600円/1人 | 800円/1人 |
非常に大きな組織向け | 問い合せ | - |
企業にとってコストパフォーマンスが良いのはChatWorkと言えますね。
細かい料金、機能は、それぞれの公式サイトを参考にしてください。
Slackは導入難易度が高め
料金に加えて、導入の簡単さもChatWorkのほうが一枚上手です。
ChatWorkはアカウント構造・UIがシンプルなので、LINEなどと同じく簡単に使い始めることができます。
逆にSlackは、以下の理由から導入難易度が高く、取り入れる際・運用に多少のコストがかかります。
- ワークスペース・チャンネルという概念
- 機能が非常に多い
- チャンネル設計
- 連携アプリ
Slackは、その機能・選択肢の多さから、最初に決めるべきルールが非常に多く存在します。
また、チャンネルの設計も初見では難しく、「無駄なチャンネルが乱立する」「雑談が多くなる」「放っておいたらDMで喋る」「発現率が低下する」といった問題が生じやすいのも事実です。
Slack・ChatWorkその他の違い
その他、ビジネスチャットツールとしての代表的な違いを列挙しておきます。
通話関係
Slack | ChatWork | |
音声通話 | ◯ | ◯ |
ビデオ通話 | 無料:1対1のみ 有料:15名まで |
無料:1対1のみ 有料:14名まで |
画面共有 | 無料:X 有料:◯ |
◯ |
通話関係は、両者とも違いはありません。
ChatWorkは無料プランであっても、通話中に画面共有できるのは大きいですね。
メッセージ関係
Slack | ChatWork | |
検索可能メッセージ数 | 無料:10,000件まで | 無制限 |
既読未読 | X | X |
メンション | ◯ | ◯ |
ファイル添付 | 無料:1GBまで | 無料:5GBまで |
送信メッセージ編集 | ◯ | ◯ |
ログイン確認 | ◯ | X |
Slackはフリープランに限り、メッセージ数に上限が存在します。上限である10,000件を超えた場合、古いメッセージから見れなくなってしまいます。
Slackには離席中・ログイン中がわかる機能が存在します。
さらにSlackの特殊な機能として、ポスト機能・スニペット機能が存在します。まとまった文章を簡単に共有する機能ですが、個人的には必要性を感じておりません。
その他
Slack | ChatWork | |
タスク管理 | X | ◎ |
連携 | ◎ | ◯ |
セキュリティ | ◯(詳細はこちら) | ◯(詳細はこちら) |
ファイルストレージ | 無料:5GB | 無料:5GB |
グループ(チャンネル)数 | 制限無し | 14グループまで |
アナリティクス | ◯ | X |
ChatWorkの特徴として、タスク管理機能が存在します。
これは、普段の会話とは別にチャットルーム内でタスクを管理できる機能で、簡単なプロジェクト管理や教育において非常に便利な機能です。
Slackでは、メッセージやメンバーに関するデータを整理・閲覧・分析できる「アナリティクスダッシュボード」という機能が存在します。
Slackの特徴
- 企業文化を根付かせやすい
- 連携アプリが豊富
- 導入にコストがかかる
ゲーム開発のためのチャットツールとして用いられてきただけあり、雑談と会議の中間のような、微妙な空気感でのコミュニケーションを得意としています。
企業文化を醸成しやすい作りになっており、娯楽系のチャンネルでチームの絆を深めることも容易です。
この「気軽にチャット&情報を共有できる温度感」はSlackにしか出せません。
また、外部サービス・アプリケーションと連携することで強力な威力を発揮します。
特にSlack内のAppディレクトリには2000を超えるアプリケーションが用意されていて、GoogleDrive、Twitter、Zendesk、GitHub、zoom、Skypeなどあらゆるアプリと連携することができます。
繰り返しますが、チャンネル設計を中心としたSlack使用方法の周知等について、導入に若干の障壁があることも事実でしょう。
また、社外の方とのやり取りもあまり得意ではありません。
一度慣れれば全く気になりませんが、ワークスペースやチャンネルといった構造に慣れない方もいるかもしれません。もし気になる方は、一度フリープランでワークスペースを作成し、少人数で運用してみてはいかがでしょうか?
Slack導入企業
- 社内でのやり取りが多い企業
- 一人一人の役割が複数ある企業
- クリエイティブな仕事の多い企業
以上のような企業が、Slackの使用に向いています。
特に、Slack独特の温度感とクリエイティブな仕事は親和性ばっちり。複数人の目指す絶妙なニュアンスをうまく形にできるチャットツールと言えます。
Slack導入企業
- 株式会社カクイチ
- Zendesk
- 株式会社 Cygames
- クックパッド株式会社
- DeNA
- 株式会社メルカリ
- 株式会社Kaizen Platform
- 日本経済新聞社
- Sansan株式会社
ChatWorkの特徴
- 効率的であっさりとした文化
- 初見でも簡単に使えるインターフェース
- 強力なタスク管理機能
ChatWork一番の特徴と言えば、効率的に情報を伝達できる、あっさりとした文化です。
メールのように署名も挨拶も不要ですし、招待リンクさえもらえれば、社内外問わずすぐにチャットを開始できます。
そして初見での使いやすさはピカイチ。検索せずとも、直感的に操作が可能です。
そして最後の大きな特徴として「タスク管理機能」。
これさえあればToDo系のアプリケーションは必要ないかもしれません。
逆に、オープンな会話や企業文化の醸成、といったことは苦手ですが、特に具体的な不便さや損失が生じるわけではありません。もともとは皆さんメールを利用していました。
あえてチャットツールで企業文化や雑談といったことをする必要が無い企業にとっては、Slackよりもかえって生産性が向上するのではないでしょうか。
ChatWork導入企業
- 社外とのやり取りが多い企業
- 生産性を重んじる企業
- 一人一人の仕事内容が安定している企業
以上のような企業が、ChatWorkの使用に向いています。
特に、これまでメールを使ってきた企業にとっては、たった1日で生産性が急増すること間違いありません。
ChatWork導入企業
- GMOインターネット株式会社
- 川崎フロンターレ
- 北海道テレビ放送株式会社
- 合同会社DMM GAMES
- 大日本印刷株式会社
- 京都大学 iPS細胞研究所
- 株式会社船井総合研究所
- グリー株式会社
- 株式会社アイモバイル
ちなみにDMM GAMESさんのように、社内はSlack、社外とのやり取りはChatWorkと、両者を使い分ける企業も多く存在します。
SlackとChatWorkの違いまとめ
まとめ
- Slackは高機能で活発なコミュニケーションが可能
- Slackは導入コストが高く、社外とのやり取りに不向き
- ChatWorkは導入コストが低くシンプルで効率的
- ChatWorkに多くの機能は無い
結局は決済者の好みになりがちですが、本当にそのツールで良いのか、きちんと整理して選択しましょう。
特にSlackは高機能で複雑な構造のあまり、導入・運用コストが高く、逆に非効率になっている場面に遭遇したことがあります。
bestCLOUDとしては以下のような考え方をおすすめします。
Slackを選ぶ具体的な理由が無いならば、ChatWorkを使う
ChatWorkであればシンプルで、誰でも使いこなせますし、社外とのやり取りも簡単です。「運用疲れ」「連携疲れ」が無い分、本業に集中できるのでは、と考えております。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。